カッパドキア観光に出かける前に、ホテルはとりあえずチェックアウトして、
荷物だけを預かってもらう事にした。
その際、オーナーが不在でアシ君だけしかいなかった。
これは一悶着あるなと思った。
支払い方法については事前にオーナーと相談をしていた。
オーナーの提示した条件は以下の通りだった。
・宿泊料金はトルコリラの現金で払って欲しい。
・熱気球ツアー料金はトルコリラ、ユーロ、日本円の現金でも可。
・クレジットカードも使えるが、別途手数料が掛かります。
なので、宿泊費はトルコリラの現金で、ツアー料金は日本円の現金で支払う旨を伝えておいた。
アシ君は宿泊料金とツアー料金の合計をトルコリラで請求してきたので、
別々に払う事を伝えて、まずは宿泊料金を払った。
そして、ツアー料金は日本円で払いたいと言うと、
「いいえ、トルコリラの現金しか使えません。」
出た。やっぱり。
何度かオーナーとの約束を説明している内に気が付いたのだが、
どうも”Yen”と言う単語自体、通じていない(知らない)ようだ。
「only Turkish Lira cash」の一点張りだ。
このやり取りを聞いていたワカゾー君が助太刀しようと、話に加わって来た。
ワカゾー君は朝食の時に同じテーブルに座っていて、軽く話した仲だ。
顔つきは東南アジアっぽい。欧米系とのハーフかも。英語は堪能。
そんな彼が為替レートを計算し出した。
結果は、ツアー料金150ユーロ=8000円だった。
なんでやねん。
為替の大体の相場とか知らんもんかね?
それがハードカレンシーであっても?
8000円置いて帰ろうとも思ったが、それも可哀相なので、オーナーに電話をさせた。
オーナーは5分程で帰って来るとの事だったので、
彼の帰りを待ち、事無きを得たのだった。
カッパドキアはマウンテンバイクを借りて回る事にした。
まずは中心地から近いギョレメパノラマに向かった。
カッパドキアを一望できる場所だ。
景色を一望に出来る場所は高台にあり、そこへ至る道は当然上り坂になる。
あまりの急坂に、手で押して上るしかなかった。
『何故、気が付かなかったのかと』少し後悔した。
ただ、坂を上りきってしまうと、台地状に平坦な地形であり、移動は楽だった。
カッパドキアの”谷”を左手に見ながら、崖の淵に沿って進んだ。
途中、中国人ツアーの団体と出くわし、
女の子2組に写真を撮ってあげた。
彼女のデジカメはキャノンのパワーショットS90だった。
自分のデジカメは既に6~7年は使っているだろうか。
最近ちょっと調子が悪くなる時がある。
S90は発売されて以来、気になっているカメラで、
次に買い換えるならS90にしようと考えつつ、もったいないと躊躇しているのだ。
世界経済の縮図をこんなところで目の当たりにするとは。
次にきのこ岩のあるパシャバー方面に向かった。
自転車で30分くらいの道のりだ。
ギョレメ中心部からそこへ至る道は平坦で、ごく僅かな下り勾配だった。
草原の中、砂利道が延々と続いていた。
特に標識も目印もないので、何度か道に迷ったりもしたが、
思いっきり、自分の気が済むまで自転車を飛ばせるのは気持ちよかった。
人も、車も、信号も、何も無い。
きのこ状の奇岩が林立するエリアに入るとマウンテンバイクの面目躍如、
けものみちのような所を通って、岩山を登ったり下ったりして、
きのこ岩の真下まで行くことが出来た。
移動自体がアトラクションであり、マウンテンバイクにして良かったと思う。
これから帰路につこうと、チェーンロックを外そうとしてると、
原付バイクに乗った男が声を掛けて来た。
「俺の事、覚えてる?」
ホテルにいたワカゾー君だ。
後ろには女の子が乗っていた。
大きなサングラスをしてるその顔は、一瞬日本人かと思った。
見方によっては、東南アジアっぽさも感じられる。
すらっと細身の、キレイなコじゃないか!
『ワカゾー、ブッ◌す!』
歯をギリギリを噛みしめながら踏むペダルは重く感じられた。
ギョレメ中心部へ戻る道は登り勾配だ。
傾斜自体はごくささやかなものであるのだけれど。
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