トルコ旅行記#13 ~ デニズリ到着 ~

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それから1時間ほど経っただろうか、
次に停車したサービスエリアで、新たな乗客が何人か乗り込んできた。
広々した空間を謳歌していた自分の横にも。
Tシャツを着て、ノートPCを抱えた若い感じの人だった。
学生かもしれない。
車が走り出してしばらくすると、また飲み物が配られた。
その際、隣の彼が英語で「どこから来たの?」と聞いて来るので、
「日本からです」と答えた。
「一人で旅行してるんですよ~」と付け加えたら、
「ごめんなさい、英語は分からないです」と。
そっちが仕向けた誘い水やのに、えーっ!と思いつつも、
仕方ないので、『地球の歩き方』巻末のトルコ語例文を指差して、説明した。
彼も少し嬉しそうだった。

バスは街中を過ぎ、周りは再び暗闇に包まれた。
ふと気が付くと、彼の太ももからお尻にかけてが、
シートの境目を越えてこちら側にはみ出していた。
『領土不可侵は二国間関係の基本やろー』と思いつつも、
大柄な体型で悪気がある訳じゃないので、仕方が無い。
そうこうしているうちに、うとうととして来たが、
眠りに落ちた頃に次のサービスエリアに停まった。
エコノミー症候群の防止の為にも、バスを降りてトイレに向かった。

バスは大体、2~3時間に1回はサービスエリアに停まった。
後はこれの繰り返しで、眠りに落ちた頃にサービスエリアに停まる。
そしてトイレに行く。

隣の彼は、途中のコンヤと思われる都市で下車していった。
また、空間を独り占めに出来るようになった。
すでに空が白んで来ていた。
そして6時頃だったろうか、バスはおもむろに幹線道路の路肩に寄せたと思ったら、
「パムッカレ」と叫ぶ声が聞こえた。
ここがパムッカレへの最寄地点らしい。
乗客の大半は(観光客なので)ここで降りた。
幹線道路上で降ろされることがあるとは聞いていたが、
いざ、こんな早朝に道の真ん中で下ろされたら、ちょっと路頭に迷うやろな。
運転手が無線機でしきりに話していたので、
乗り換えのミニバスを呼んでいたのかも知れないが。
「お前もここで降りるんじゃないのか?」と給仕係に言われたが、
「いや、デニズリのオトガルまで行く」と答えた。
オトガルでまずイズミール行きのチケットを受け取る必要がある。
あとスーツケースも預かってもらわないといけない。

バスは最終目的地のデニズリのオトガル(バスステーション)に向けて動き出した。
デニズリ→パムッカレは近いと思っていたので、
10~20分でオトガルに着くものだと決め込んでいた。
それが30分以上走っていたので、
『あれ、やっぱりさっきの所で降りなきゃいけなかったのかな?』と、
若干の不安を感じた。
溺れるものは藁をも掴む。
不安にかられ、『地球の歩き方』の見るに耐えない地図を凝視していると、
バスは無事オトガルに到着した。

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