石灰棚を登り切った後で、次は古代ローマ時代の遺跡に向かった。
この地は『ヒエラポリス-パムッカレ』として世界遺産に登録されている。
複合遺産としてだ。
もしかすると、ローマの遺跡の方がメインかも知れない。
その前に、遺跡が沈む温泉として有名な”パムッカレ温泉”に行く事にした。
ローマの遺構が温泉で浸されていると言うよりも
(かつてはそうだったのかもしれないが)、
温水プールに遺跡の破片をいくつか沈めたものだった。
入水するには入浴料がかかるが、
見るのは自由でプールサイドを歩くことも出来た。
水着を持っていなかったが、持っていてもスルーしたかも知れない。
チャイを飲んで一服してから、ローマの円形劇場遺跡に向かった。
多分、ローマの円形劇場を見るのは初めてかもしれない。
ローマ(イタリアの)に行った時も、コロッセオは見たが、
このような半円の劇場は見なかったような。
円形劇場は、まさにすり鉢を半分にしたような形状で、客席部分の傾斜はかなり急だ。
これなら前に背の高い人が座っても、視界が遮られることはない。
ステージ側がら客席をみると、客席が迫って来るように錯覚する。
演者と観客が一体になるのに、一役かってそうだ。
合理性を重んじるローマ人ならではと言ったところか。
いい時間になってきたので、北門ゲートに向かうことにした。
(入って来たのはパムッカレ村側ゲート)
北門へはローマの街の廃墟の中を進んで行く。
道の脇には、崩れかけた門や住居の跡、
横になって役目を果たさなくなった石の柱などが、所狭しと残っていた。
半ば草に覆われながらも当時の栄華を偲ばせるには十分だった。
石灰棚にいた頃はどんよりしていた空も、すっかり晴れ上がっていた。
時折吹き抜ける風は涼しく草木を揺らしていた。
夏草や兵どもが夢の跡
と言うか、
国破れて山河あり
と言うべきか、
塩野七生の『ローマ人の物語』を愛読する自分にとって、感慨深いものがあった。
30分くらい歩いただろうか、北門ゲートに到着した。
ここからバスでデニズリに戻る予定だったのだが。
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