イズミールへ向かうバスには、
日本人はおろか観光客の姿も無かった。
イズミールはトルコ第3の都市だが、皆が訪れる観光地と言う訳ではないのだろう。
バスのシートは、通路を挟んで1列+2列の3列構成であった。
自分の席は1列の側であり、横を気にする必要もなく、極めて快適であった。
カッパドキア→パムッカレのバスもこれだったら良いのに。
快適さのためか、或いは疲れが溜まっていたのか、
いつの間にか寝てしまったらしい。
目が覚めた時には、残念ながら飲み物とお菓子の配布は既に終了していた。
デニズリ→イズミールは約4時間の行程だ。
途中1回だけ、トイレ休憩があった。
トイレに行こうとすると、『目的地じゃない、乗ってろ』みたいな素振りで制止された。
股間に両手を当てて小刻みにジャンプして『トイレだ』とアピールすると、
『なんだ、行って来い』みたいな。
ここまで来ると、英語も役に立たない。
今日は朝からジェスチャーゲームだ。
バスは高速道路に入り、
2回目の飲み物とお菓子の配布があった。
カッパドキア→パムッカレ線ではなかった、コロンヤのサービスもあった。
「エフェス」や「トロイ」を示す道路標識が目に入った。
エフェスとトロイは日程の都合上割愛したが、
またいつか訪れる事が出来たら良いなと思う。
程なくしてバスは高速を降り、市街地になった。
乱雑に空間を埋め尽くす雑居ビル、渋滞する幹線道路。
久々の大都市の雰囲気である。
バスはイズミールのオトガル(バスターミナル)に入る前に、
メトロ社(この高速バスの運営会社)の営業所のような所に停まった。
多くの乗客がここで市内各所に向かうミニバスに乗り換えていた。
自分はどうしたものかと、運転手に聞いても要領を得ない。
すると、スーツを着たマネージャーらしき人が出てきて応対してくれた。
ホテルの名前を言っても分からないようなので、バウチャーを見せると、「あのバスに乗れ」と。
そのバスは<イズミールのオトガルを経由して市街地に向かった。
営業所で乗り換えて正解だったのだ。
ただ、オトガルを発った後、バスはスラム街のような雰囲気の中を走った。
『イズミールに来たのは失敗だった?』と不安にもなったが、
そのエリアを過ぎ、街の中心部に近づくにつれ、近代的で洗練された街並みになって行った。
バスはホテルの近くまでしか行かないらしく、降ろされてからタクシーに乗った。
タクシーの運チャンにホテル名を伝え、バウチャーを見せようとすると、
『大丈夫、分かるわかる』と。
夕方の、大勢の歩行者でごった返す繁華街を進んでいくと、
海の気配とともに、ホームページで見たホテルの姿が現れて来た。
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