オーストリア編 4. ハイリゲンシュタットの遺書

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ミュンヘン行きの電車が出るウィーン西駅へ向かう前に、
郊外にあるハイリゲンシュタットと言う所に寄った。
長年来、是非とも訪れたいと思っていた場所だ。
Heiligenstadt

ここはベートーベンが長らく生活した場所で、
日ごとに悪化する難聴への絶望から、弟のヨハン宛に遺書を書いた場所としても有名である。
ベートーベンの住居を示すプレートがあった。
Heiligenstadt

ベートーベンは耳が聴こえなかったと知ったのは小学生の3~4年の頃だったと思う。
その時に受けた衝撃は今でも覚えている。
『耳が聴こえないのに、どうして音楽が作れるの?』

もちろん聴覚を失った音楽家の苦悩は、慮ることすら到底出来ない。
昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか、と。

しかし、その事に対する思いは今でも事ある毎に去来する。
例えば何か壁に突き当たった時、
『ベートーベンに比べれば、この程度は悩むに足るまい』
と、自らに言い聞かせている。

加えて、ベートーベンの曲で名作と言われるものの殆どが、
難聴が悪化したのちに作られたものである事実は、極めて示唆的である。

ハイリゲンシュタットの遺書“のコピー。
原本は大学の図書館に保管されているらしい。
Heiligenstadt

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