パムッカレ村は、パムッカレの石灰棚がある丘の麓にあるので、
ここから側からは石灰棚を経由して、丘の上まで登って行く事になる。
そして、日本だと考えらない事だが、石灰棚の上は直に歩くことが出来る。
(もっとも、その道以外に丘の上に至る経路はないのだが)
ただし、石灰棚の保護のため、靴を脱いで裸足で歩く必要がある。
石灰棚の縁はツルツルで滑って危ないのかと思っていたが、
表面には細かいひだが刻まれていて、
やすりの上を歩いているような感じで、滑る心配はなかった。
縁の表面には水が流れており、所によってはくるぶしが没する程の水流の箇所もあった。
ただ、温泉水であるので、ぬるくて気持ちがよかった。
途中で、「写真撮って」と、大阪のオバちゃんに声も掛けられたし。
パムッカレは昔、テレビCMで使われていたのを見た記憶がある。
それを見ていた当時は、ただ漫然と画面を眺めるだけで、
そこがパムッカレと言う所でトルコにあるなどと、
考えすら及ばなかった。
ましてや自分がそこに行けるなど。
何のCMかは覚えていないが、マイルドセブンのCMだったような気もする。
石灰石のコロイド溶液が空の色を受けて青味を帯び、
千枚田のように十重二十重に重なり合う白い縁取りの中で鏡のように佇んでいる。
この壮観な眺めも、近年は温泉水の枯渇という問題に直面しているらしい。
確かに人工的に補強された”プール”や、
少ない温泉水を一箇所に誘導する”とい”が見られた。
また、温泉水を奪われたために干上がって、茶色く変色した一帯もあった。
数年前までは、パムッカレのこちら側斜面全面が満満と水をたたえた石灰棚だったと思うと、
少し残念な気もする。
ただ、アメリカのイエローストーン然り、中国の九寨溝・黄龍もまた然り、
この手の地形は、地形の形成過程における初期の一段階であると聞いた事がある。
要するに幼い地形なのだと。
10代の美しさが束の間のもので、いずれ移ろって行くのと同じ、
地形の変遷を徒に嘆く必要は無いのかも知れない。
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